心臓病を理解しよう

心臓血管手術後の投薬

 

心臓血管外科手術直後(術後1か月まで)の投薬の基本は、術後のむくみをとり、心臓の負担を減らし、術後の回復を促すことです。

術後の安定期(退院後)は合併症、再発を予防する投薬となります。

 

 

冠動脈バイパス術後

抗血小板薬、利尿剤、冠動脈拡張剤、胃薬、便秘薬、鎮痛剤

心臓弁膜症術後

抗凝固剤、利尿剤、冠動脈拡張剤、胃薬、便秘薬、鎮痛剤

胸部大動脈瘤手術後

利尿剤、胃薬、便秘薬、鎮痛剤

腹部大動脈瘤術後

胃薬、便秘薬、鎮痛剤

末梢血管バイパス手術後

抗血小板薬、血管拡張剤、胃薬、便秘薬、鎮痛剤

 

その他

高血圧糖尿病不整脈高脂血症を合併している場合はそれぞれの投薬を行います。

 

 

 

代表的な薬剤名 ワーファリン
ジェネリック医薬品 ワルファリンK、ワルファリンカリウム
効果 ビタミンKの働きを抑えて血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぎます。
通常、静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、脳血栓症などの治療や予防に用いられます。
(心臓弁膜症や心房細動などがある方は服用が必要な薬です。)
服用方法 この薬を1日に飲む錠数と回数は、血液凝固能検査(プロトロンビン時間、トロンボテスト、INR)などの結果に基づいて医師により決められます。
小児の場合も血液凝固能検査などの結果に基づいて医師により決められますが、維持投与量の目安としては、12カ月未満:0.16mg/kg/日、1歳以上15歳未満:0.04〜0.10mg/kg/日となっています。
(ワーファリンの量が多すぎると出血してしまいますし、逆に少なすぎると効果が得られません。)
服用期間の目安 心臓弁膜症の機械弁手術の場合は一生服用が必要です。
心臓弁膜症の生体弁手術や弁修復術後の場合は3ヶ月程度の服用となります。(ただし、心臓弁膜症の方は「心房細動」という不整脈が起こりやすくなっています。心房細動であればワーファリンの継続的な服用が必要です)
服用上の注意点
・納豆、クロレラ、青汁などのビタミンKを多く含む食品や、セイヨウオトギリソウはこの薬の作用を弱めますので、これらを食べたり飲んだりしないでください。(セイヨウオトギリソウはハーブの一種で、健康食品として市販されています。)
・緑黄色野菜、海藻は一度に大量に食べることは避けてください。少量であれば、問題ありません。
・アルコールはこの薬の作用に影響を与えるおそれがありますので、過度の飲酒をひかえてください。
・風邪薬、抗生物質など飲み合わせに注意が必要なお薬があるため、町の薬局や他の病院でお薬をもらわれる場合は、ワーファリンを服用していることを医師・薬剤師にお伝えください。
・この薬の服用中は出血が止まりにくくなっていますので、ケガをするおそれのある仕事や運動などを避けてください。
・定期的に診察を受け、血液凝固能検査を受けてください。手術や抜歯をする時には、事前に担当の医師に相談してください。他院や他科に受診の際は、この薬の服用を医師、歯科医師、薬剤師に伝えてください。
副作用 主な副作用として、発疹、そう痒症、紅斑、じんま疹、皮膚炎、発熱、脱毛などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。
まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。
このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。
・頭痛・胸痛・腹痛、黒色便・血便・血尿、歯肉出血・皮下出血[脳出血などの臓器内出血、粘膜出血、皮下出血など]
・痛みのある平らな赤い発疹、点状出血、出血性水疱[皮膚壊死]
・痛みを伴う皮膚の潰瘍、痛みを伴う青いあざができる[カルシフィラキシス]
・吐き気や嘔吐、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる[肝機能障害、黄疸]
   
   
代表的な薬剤名 ラシックス、オイテンシン
ジェネリック医薬品 フロセミド
効果 腎尿細管におけるNa、Clの再吸収抑制により利尿作用を示し、さらに利尿による循環血流量の減少などにより血圧を下げます。
通常、高血圧症(本態性、腎性など)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、末梢血管障害による浮腫の治療、および尿路結石排出促進に用いられます。
服用方法 通常、成人は主成分として1回40〜80mgを1日1回連日または隔日服用します。なお、治療を受ける疾患や年齢・症状により適宜増減されます。腎機能不全などの場合にはさらに大量に用いられることもあります。ただし、悪性高血圧に用いる場合は他の降圧剤と併用されます。
服用期間の目安
半年~1年(心臓の調子が良ければ中止も可能です)
手術後は循環が不安定であり、炎症が起こっているため、体がむくみやすくなっています。そのため、しばらくの間服用が必要です。
副作用
主な副作用として、口渇、倦怠感、頭痛、吐き気・嘔吐、貧血、発疹、じんましん、発赤、光線過敏症、かゆみ、水疱性皮膚炎、紫斑、黄疸などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。
まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。
このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。
・そう痒感、息切れ、冷汗[ショック、アナフィラキシー]
・発熱、咽頭痛、倦怠感[再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少、赤芽球ろう]
・皮膚の紅斑、水疱(水腫れ)、そう痒・膨疹[水疱性類天疱瘡]
・聴力の低下、耳閉感、めまい[難聴]
・高熱(38℃以上)、皮膚に赤い発疹・水疱、眼球結膜の充血[中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症]
   
   
代表的な薬剤名 ガスター
ジェネリック医薬品 チオスター、ファモチジン、ブロスターM
効果 胃粘膜のヒスタミン₂受容体を遮断し、胃酸分泌をおさえます。
通常、胃・十二指腸などの潰瘍や胃炎、食道炎などの治療に用いられます。
服用方法 ・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群:通常、成人は1回1錠(主成分として20mg)を1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)に服用します。また、1回2錠(40mg)を1日1回(就寝前)に服用することもできます。
・急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変:通常、成人は1回10mgを1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)に服用します。また、1回1錠(20mg)を1日1回(就寝前)に服用することもできます。
服用期間の目安
2~3ヶ月
副作用
主な副作用として、発疹・皮疹、じん麻疹、顔面浮腫、便秘、月経不順、女性化乳房などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。
まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。
このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。
・顔色が青白い、冷汗、立ちくらみ[ショック、アナフィラキシー]
・のどの痛み、頭痛、筋肉痛、貧血症状、出血傾向[再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少]
・発熱、食欲がない、赤い発疹[皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症]
・全身がだるい、食欲がない、皮膚や白目が黄色くなる[肝機能障害、黄疸]
・筋肉痛、脱力感、褐色の尿[横紋筋融解症]
   
   
ジェネリック医薬品 マグミット、酸化マグネシウム、重カマ、重質酸化マグネシウム
効果 制酸作用があり胃酸を抑えるとともに、腸内の浸透圧を高めて腸壁から水分を引き寄せ、腸の内容物を軟化・膨張させて腸管に拡張刺激を与えることで、排便を促します。
通常、胃・十二指腸潰瘍、胃炎、上部消化管機能異常における制酸と症状の改善、便秘症、尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防に用いられます。
(手術後、排便時に力むと、手術部位の痛みや血圧の上昇を招くことがあるため服用します。)
服用方法 ・胃・十二指腸潰瘍、胃炎、上部消化管機能異常:通常、成人は1日主成分として0.5〜1.0gを数回に分けて服用します。
・便秘症:通常、成人は1日主成分として2gを3回に分けて食前または食後に服用するか、または就寝前に1回服用します。
・尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防:通常、成人は1日主成分として0.2〜0.6gを多量の水とともに服用します。
いずれの場合も治療を受ける疾患や年齢・症状により適宜増減されます。
服用期間の目安
2~3ヶ月
副作用
主な副作用として、下痢などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。
まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。
このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。
吐き気・嘔吐、血圧低下、筋力低下[高マグネシウム血症]
   
   
   
代表的な薬剤名 バイアスピリン
ジェネリック医薬品 バイアスピリン、アスピリン、ゼンアスピリン
効果 シクロオキシゲナーゼ‐1(COX-1)阻害により、トロンボキサンA₂の合成を阻害して血小板凝集を抑制し、血液が凝固して血管をつまらせるのを防ぎます。
通常、狭心症、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳梗塞、冠動脈バイパス術あるいは経皮経管冠動脈形成術施行後における血栓・塞栓の形成を予防します。
服用方法 通常、成人は1回1錠(主成分として100㎎)を1日1回服用します。なお、症状により1回3錠(300㎎)まで増量されることがあります。
服用期間の目安
継続的な服用が必要です。
副作用
主な副作用として、食欲不振、胃腸障害、蕁麻疹、発疹、浮腫、鼻炎様症状、貧血、めまい、頭痛、興奮、血圧低下、耳鳴、過呼吸、倦怠感などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。
まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。
このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。
・呼吸困難、全身潮紅、蕁麻疹[ショック、アナフィラキシー]
・頭痛、嘔吐、消化管出血[出血(頭蓋内出血、肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血など)]
・発熱、紅斑・水疱、結膜充血[中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、剥脱性皮膚炎]
・貧血症状、出血傾向(鼻血、歯茎などの出血)、発熱[再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少]
・息苦しさ、喘鳴(ヒューヒュー音)[喘息発作の誘発]
   
※服用方法は年齢、症状により適宜増減されることがあります。 医師の指示通りに服用してください。
  また、上記の副作用はすべてを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。

監修 名古屋徳洲会総合病院 薬局 箱家 優子, 西郡