心臓血管外科手術について

MICS手術(低侵襲小切開心臓手術)

 

MICS手術(低侵襲小切開心臓手術)

MICS=Minimally Invasive Cardiac Surgery 

 

 2010年より開始し200例以上のMICS手術を経験。

 

胸の骨を全く切らず、 4-6cmの皮膚切開で、肋骨の間(肋間)から行う心臓手術です。小さな傷口でかつ胸骨を切開しないため、出血も少なく、縦隔の感染もない低侵襲の方法であり美容的にも傷口 が目立つことのない手術となります。 

この手術は大動脈弁手術、僧帽弁手術、三尖弁手術、心房手術(心房内腫瘤、心房中隔欠損症)そして冠動脈バイパス手術に行われます。僧帽弁手術ではダヴィンチロボットを使用して小さな傷口でさらに細やかで正確な修復が可能となりました。患者さんの状態、体格、病変、手術方法を検討してMICSでできない場合もあります。その時は、従来の胸骨正中切開方法で行う場合もあります。

 

従来の心臓手術(胸骨正中切開)

従来の心臓手術は正中切開と言って胸の前にある胸骨を縦に切開して心臓に到達していました。この切開法では一般の体格の人では15cmから20cmの皮膚 切開が必要です。また胸骨を縦に切開するため骨髄からの出血、感染が心配でした。

wound median IMG_0519
     
 

MICS手術(低侵襲小切開心臓手術) 

 

MICS大動脈弁手術

 

MICS ACR 腋窩
2 3

 

MICS僧帽弁、三尖弁手術、心房手術

 

201501281055000 201502041048000

2

 

MICS冠動脈バイパス術

 

MIDCAB ope scar wound MICS CABG
2013-04-12 11.03.53

 

 

MICS手術の利点

 

胸の骨を全く切らない

骨の痛みがなく、切った骨からの出血がないため出血が少ない。

 

小さな傷口で出血も少ない

真正面から見て傷口が見えにくく、皮膚切開も少なく、骨の切開もないため出血が少ない。侵襲も少ないため回復も早い。

 

正面からではなく真横から見るので心臓の弁が見やすい

僧帽弁は心臓の後ろに位置するため見えやすい。ダヴィンチだとさらに大きく真正面で見えるため、弁のどこが悪いかの判定が簡単となる。その結果手術がやりやすく、成功率がさらに高くなる。

 

手術の実際

 

 

 vs200204-005 MICS僧帽弁形成術
vs200204-004 MICS大動脈弁置換術
MICSCABG ope scene (2018-04-27 13-42) MICS冠動脈バイパス術
vs200204-001 Da Vinc僧帽弁形成術

 

 MICS手術の欠点

 

患者さんの病態、状態によっては不可能な場合もあります

大動脈の動脈硬化が高度で大腿からの送血脱血が不可能な場合

胸壁が扁平で視野が困難な場合

バイパス手術合併等の複合手術の場合

 

視野が狭く、病変への操作が遠くで難しい場合がある

このような場合はダヴィンチロボット手術がこのような欠点を克服します