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2016.03.30 |

春日井心臓血管セミナーが徳洲新聞に掲載されました

春日井心臓血管セミナーが徳洲新聞に掲載されました。

徳洲新聞記事 

澤・阪大教授「TAVI」展望

「地域の医療者に最先端医療の情報を提供したい」と大橋総長 澤教授は日本未発売のデバイスの特徴や今後のTAVIの展望など紹介 地域の医療者ら90 人以上が参加 懇親会で多施設の職員が交流を図る

この日は、名古屋徳洲会病院の立地する春日井市を中心とした近隣の病院や診療所から医師、看護師ら90人以上が参加。AS治療の最新知見を得るとともに、施設間交流を深めた。

初めに同院の大橋壯樹総長(心臓血管外科)が会の趣旨を説明。「医療の進歩が目まぐるしいなか、病院と診療所の医師がともに最先端の医療に触れ、情 報共有することが、患者さんへの最適な医療の提供につながると思います」。さらに、同会で紹介する医療内容や機器、器具、薬剤などに偏りが出ないよう、あ えて企業協賛はすべて断り、公平性にこだわったことを説明した。

その後、中津川市民病院、名古屋第一赤十字病院、名古屋徳洲会病院がそれぞれ自院のTAVI症例の転帰などを紹介。

中津川病院の林和徳・診療部長兼循環器内科部長は「東濃地区における高齢者大動脈弁狭窄症の現状」と題した講演のなかで、過去3年間に心不全で入院した患者さんの10%以上がASに起因すると報告した。

赤十字病院の神谷春雄・第一循環器内科部長は「当院でのTAVIの開始とその後の循環器診療への影響」をテーマに発表。TAVI治療ではハートチー ム、なかでも放射線科医による術前CT(コンピュータ断層撮影)での詳細な評価が重要であると指摘し、こうした連携が合併症低減につながるとの見方を示し た。

名古屋徳洲会病院の亀谷良介副院長(循環器内科医)は「当院でのTAVIの経験」と題し講演。AS治療のゴールデンスタンダード(標準治療)は外科 手術による大動脈弁置換術(AVR)としつつも、手術負担に身体が耐えられないなどの理由で、重症ASでありながらAVR未施行の患者さんはかなりの数に 上ることを指摘。

「手術しない場合の重症AS患者さんの1年生存率は5割程度と、予後はきわめて悪く、こうした患者さんの救済策として、TAVIは有効だと思います」と強調。同院は東海地区初のTAVI実施病院であり、すでに10人に施行、全例予後良好であることを報告した。

目玉の澤教授の講演は「TAVIに関する最近の知見と将来展望」がテーマ。澤教授は、日本の保険診療下で使用できるデバイス「サピエンXT」と「コアバルブ」の2種に加え、欧米で次々と発売されている新しいデバイスについても、その特徴を紹介した。

さらに、同院ではすでに次世代のデバイス「ロータスバルブ」と「イエナバルブ」を治験(医薬品、医療機器等の製造販売認可を受けるための臨床試験)中で、耐用年数が切れた人工弁の上に新しい人工弁を留置する「バルブインバルブ」も臨床研究中であることなどを報告した。

澤教授はデバイスの進化が目覚ましいことから、今後、単にTAVIの成績が向上するだけでなく、将来的にTAVIの適応が拡大する可能性が十分にあると指摘。「将来的には、ハイリスク例だけでなく、ミドルリスク例もTAVIの対象となるかもしれません」と展望を示した。

また、日本のTAVIの成績は他国に比べてもきわめて高いことを紹介し、その理由として医療機器や設備、医師の資格、施設体制などの基準をあえて厳しく規定し、限られた施設でのみ実施していることを挙げた。

なかでも重要なのが心臓血管外科医、循環器内科医、麻酔科医、放射線科医、看護師、コメディカルなどで構成したハートチームで、①適応、②手技、③術中合併症の対応策、④周術期管理――などを個別の症例ごとに綿密に協議し、施術に臨む必要性を強調した。

インターバルをはさんで2度にわたり行った懇親会も盛況を博し、多職種・多診療科が交流を深めた。大橋総長は「職員が多くの面でコストダウンを図っ てくれ、一般的なセミナーより、かなりリーズナブルに開催することができました。今後も、協賛なしの純粋な学術研究会として頑張って運営していきたい」と 熱い思いを語った。

第2回は「大動脈瘤(りゅう)に対するステントグラフト治療」をテーマに、日本で最初にステントグラフト手術を実施した森之宮病院の加藤雅明・心臓血管外科部長を招聘し、9月17日に開催する予定。

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