心臓血管外科手術について

胸部及び腹部大動脈瘤手術

大動脈がこぶ状に膨らむ真性大動脈瘤と、大動脈の内壁に傷がつき解離する大動脈解離があります。ここでは真性大動脈瘤についてお話します。

治療をせずに放置しますと次第に大きくなり、破裂する危険性が高くなります。破裂してしまった場合或いは破裂寸前の場合緊急手術が必要ですが状態が悪化しているため救命率は低くなります。

胸部大動脈瘤手術は、開胸し体外循環を使用して大動脈瘤の部分を人工血管に取り替えます。腹部大動脈瘤手術は開腹して大動脈瘤の部分を人工血管に取り替えます。外科手術ではなくカテーテル(ステントグラフト)での治療も可能となってきました。
入院日数ですが、予定手術の場合、腹部大動脈瘤手術は6~12日(平均日)、胸部大動脈瘤手術は14~20日です。緊急手術の場合は手術前の状態によりますが、術後合併症の危険性も高くなります。

当院で行った腹部大動脈瘤に対し手術を行った600例について

図2のコピー

EVAR:経カテーテルステントグラフト治療、OPEN:開腹人工血管置換術

 

平均年齢74.1±9歳、性別は男性490名、女性110名であった。

破裂症例(切迫破裂含む)が190例、非破裂症例は410例であった。

瘤の原因、病理としては真性瘤が566例、仮性瘤が16例、解離性大動脈瘤が8例、炎症性大動脈瘤が5例、感染性大動脈瘤が5例であった。開腹歴は50例であった。

 

 手術時間は全平均3時間10分(1時間8分-9時間44分)であった。

  平均手術時間
予定 3時間9分(1時間8分-9時間48分)
緊急(破裂) 3時間13分(1時間25分-9時間44分)
再手術症例 3時間1分(1時間45分-5時間43分)

 

成績は術後1週間以内死亡が27例(うち25例が破裂症例)、一ヶ月以内死亡が21例、術後一年以内死亡が17例であった。術後合併症としては術後創部感染が16例、出血再手術症例が5例、呼吸不全が16例、脳梗塞が8例であった。

手術結果

  一週間以内死亡 一ヶ月以内死亡 一年以内死亡
予定 2例(0.5%) 7例(1.7%) 9例 (2.2%)
緊急(破裂) 25例(13.2%) 14例(7.4%) 8例 (4.2%)