心臓血管外科手術について

経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN)

心原性脳梗塞に対して、経皮的にカテーテルで左心耳閉鎖術を行っています。

 

カテーテルの豊富な経験をもとに低侵襲で安全な治療を行います。

▲カテーテルで左心耳閉鎖術を行う様子  

経皮的左心耳閉鎖術(WATCHMAN)は、非弁膜症性心房細動による脳卒中を予防するシステムです。当院では、2023年秋に認定施設となりました。

 

心房細動と心原性脳梗塞

心房細動は高齢者に多い不整脈です。日本では、高齢者人口の増加に伴い、患者数が増えている疾患です。

特に左心房から耳たぶ状に突出する左心耳は、血栓が形成されやすい部分で、心房細動が原因の血栓の多くはこの左心耳で発生します。この心房細動は、突然大きな脳血管を閉塞し(心原性脳梗塞)、重度の機能障害や場合によっては死に至ることがある疾患です。これは、心臓が小刻みに振動することにより血栓が生じやすくなり、この血栓が心臓から脳の血管に移動し、血管を詰まらせまるために生じる疾患です。
心原性脳梗塞を防ぐためには、左心耳における塞栓の形成を予防することが重要です。

 

▲左心耳に出来た血栓が脳へと移動し脳梗塞を引き起こす

 

従来の予防治療

これまでの予防法として「血液をサラサラにするお薬(抗凝固薬)」を生涯服用することが推奨されていましたが、消化管出血や脳出血などの出血リスクのために服用できない患者さんや実際に出血を繰り返してしまう患者さんに、より有効で安全な治療法が待ち望まれていました。

 

左心耳閉鎖治療

左心耳閉鎖デバイス(WATCHMAN)を用いた左心耳閉鎖治療は、先端にデバイスを付けたカテーテルを大腿静脈から挿入し、心房中隔を穿刺して左心房に到達させたのち、左心耳でデバイスを膨らませ留置する手技です。

▲左心耳閉鎖デバイス(WATCHMAN)と留置のイメージ図

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手術後にはWATCHMAN(ウォッチマン)を覆うように内皮化が進み、左心耳が永久的に閉鎖されることによって脳梗塞のリスクを抗凝固療法並みに低減させながら、抗凝固薬の服用を中止することができるようになります。