診療科・部門

カテーテルアブレーション

不整脈病態について

ひとことに不整脈といっても多くの病態があり、脈が異常に速くなるものや余分に打つもの、また脈が異常に速くなるものや余分に打つもの、また脈が遅くなったりばらばらになったりするものなど様々です。それらは自覚症状の有無や多寡に関わらず、治療を要するものも放置可能なものもあります。その多くは背景となる心臓病を合併していますが、心臓病に異常がない健康な人にも時に起こり得るもので、不快な自覚症状を伴うばかりでなく、動悸や息切れからひどい時は失神したり致命的になるものもあり、看過できないことがあります。

 不整脈病態について

不整脈の治療について

不整脈の治療のうち、脈が遅くなってしまい失神などの自覚症状を伴うものは現在でもペースメーカーという機械を手術で植え込む以外有効な治療法はありません。一方脈が速くなったりばらばらになる不整脈に対しては、治療の必要があると判断された場合、以前は夜生薬を飲み続けるか、心臓外科で手術的に病変を切除するなどしか治療方法はありませんでしたが、近年”カテーテルアブレーション”言う治療法が開発され、比較的少ない侵襲で不整脈を治すことが出来るようになりました。終生副作用を心配しつつ薬を飲み続ける負担から解放されることもあり、注目されています。

 

不整脈の治療について 

 

カテーテルアブレーションとは

カテーテルアブレーションは、爪楊枝と同じくらいの太さの管(カテーテル)を、足の付け根や首の付け根や肩などの血管を通して心臓まで挿入し、その先端についている電極から電気を流し、約60℃程度の熱を発生させて病気の元となる場所を焼灼します。入院は必要ですが、外科的に胸を切って行う手術とは大きく異なり、カテーテルを挿入する部位を局所麻酔下に約2~3mm切開して心臓まで電極を挿入して治療するものです。手技時間、成功率は不整脈の種類にもよりますが、2~3時間で、100%近くの成功率を収めるものも多く、近年注目されています。

 

カテーテルアブレーション 

以前は不整脈の元となる心臓の電気現象を局所電位のみで検討していたため、正確な診断に比較的多くの時間が必要でしたが、最近は3次元カラー表示で電気の流れを詳細に表示することが可能となり、より正確に病院に病変を同定することが出来るようになり、成功率も向上しています。

 

カテーテルアブレーション 

 

発作性上室性脈拍症

階段を上ったり思いものを持ったりしていないにも拘わらず、急に脈が速くなる不整脈です。数分以内に治まるものから、何時間も続くものまでその持続時間はまちまちで、突然に始まり突然に治まることがこの不整脈の特徴です。その脈はばらばらになることなく規則正しく、1分あたりの心拍数が150程度から200を超えることもあります。また、この不整脈は、心臓に全く異常の無い健康な方にも発病し、小児や若い方にもみられることも特徴の1つです。分類の仕方は諸説ありますが、WPW症候群、房室結節回帰性頻拍、心房頻拍などが挙げられます。殆どがカテーテルアブレーションのよい適応とされており、根治率も高く、比較的短時間で手技を終えることが出来る不整脈です。

 

【1.WPW症候群】

先天的に電気の通り道が余分にあることが原因とされており、無症候ながら学校健診などで見つかることが多いこともこの不整脈の特徴です。心電図でデルタ波と呼ばれる、正常の心電図に三角形の余分な波形がくっついて見えるのが特徴〈図1a〉で、この余分な電線をカテーテルで焼灼することにより治療します〈図1b〉。

 

WPW症候群

 

その”電線”の位置にもよりますが、最近はほぼ100%の成功率で治癒します。まれにこの余分な電気の通りの伝導性が極めて高くなることがあり、偽性心室頻拍という、致命的な重篤な不整脈に至ることもあるため注意が必要です〈図2〉。現在学会のガイドラインでも、本法が第一選択の治療法として推奨されています。

 

WPW症候群

 

【2.房室結節回帰性脈頻拍】

正常にある心臓の電気の通り道が複数枝分かれし、その一部が電気的に繋がり電気回路が形成され不整脈が起こると考えられていますが、まだその本態については今だ結論が出ていません。その電気的なつながり部分を心内心電図の電位から探していき、その余分な繋がり部分(slowpathway電位:図3a)をカテーテルで焼灼することにより治療します。100%近くの成功率で治癒します(図3b)が、極めて稀に正常な電気の通り道に障害を及び、術後ペースメーカー植込みが必要となってしまう可能性もあり、その併発症に注意が必要です。

 

房室結節回帰性脈拍 

 

【3.心房頻拍】

心臓にある4つの部屋のうち、上側の部屋(心房)のどこかに異常な電気を発生する場所が出来て、そこからの余分な電気発火が心臓を動かしています。心臓に対する手術の傷(瘢痕)や、加齢に伴う老化現象がその原因となります。その発生部位により治療の難易度や成功率が大きく異なります。最近はコンピューターを用いた3D表示で病変部位を定めることにより、治療成績が向上しています(図4a,b)。

 

心房頻拍 

 

心房細動

不整脈という言葉の通り、脈がばらばらになる代表的な不整脈です。脈は速くなるものも遅くなるものもあり、自覚症状もまちまちです。その原因は誰にでも起こり得る高血圧や心不全などで、決して稀なものではなくありふれた病気です。その頻度は年齢とともに上昇し、欧米では70歳以上の一般市民に約5%以上の頻度で心房細動が認められたと報告されており(図1)、日本の研究でも新規発症率は年齢とともに増加しています(図2)。

 

心房頻拍 

 

発病当初は、正常な脈(正常洞調律)と心房細動を交互に繰り返すことから発作性心房細動と呼ばれ、徐々に心房細動の状態が長く続くようになり(持続性心房細動)、最終的に正常な脈拍が消失(慢性心房細動)となります。心房細動はいずれの病態でも症状は千差万別で、脈がばらばらになることで強い動悸やめまいを伴う方がおられる一方、全く自覚症状を伴わないまま慢性化し、心房の動きが失われ心臓の動きが弱ることから息切れや呼吸困難を来し、心不全が悪化してから始めて病院に来られる方もおられます。心房細動の患者さんと正常洞調律の心電図を、心電図と血圧を同時に測定した図をお示しします(図3)。

 

心房頻拍 

 

心房細動では、正常とは異なり血圧が変動し、脈拍が速くなると血圧が逆に低下する様子が示されています。この様に心拍数と血圧は解離し、心臓は仕事量が増えてドキドキする一方、血圧の循環は悪くなるため様々な不都合が生じるのがこの病気のやっかいなところです。何よりこの病気の一番の問題は、心房機能が失われることにより心房内に血の塊”血栓”が出来て、それが脳や他の臓器に飛び出して行って脳梗塞や他の臓器の血行障害を引き起こすことです(図4)。近年、多くの著名人もこの不整脈から脳梗塞を発症したことが報道されています。

 

 さて、この心房細動については、これまで抗不整脈薬を終生飲み続け、加えて抗凝固薬を用いて血栓形成を予防するしか治療法はありませんでした。しかし、近年カテーテルアブレーションでも心房細動そのものの治療が可能となり注目されています。これは、左心房の一番奥にある肺動脈の付け根辺りを、カテーテルを用いて電気的に隔離する方法です(図5)。これまで心臓の老化現象とされてきた心房細動をカテーテルで治療し若返らせることが出来るようになった訳ですが、心臓の中では左心房、肺静脈といった一番奥にまでカテーテルを進めなければならず、他のカテーテルアブレーションより技術と経験が必要とされており、また血栓や出血性の合併症も稀に報告されています。

 

全ての心房細動をこの治療法で完治させるためには、まだ解決しなければならない点がいくつかあります。しかし、治療が奏功すると脳梗塞の危険性が減り多くの薬剤から解放されるだけでなく、心臓の動きが回復し生活の質”QOL”も向上することから、我々不整脈専門医の間でも、今最もHOTな分野の一つとして注目されています。

 

心房頻拍 

 

心室性不整脈:心室性期外収縮

 心臓は本来、心房が収縮した後に心室が収縮して血液を送り出すように作られており、その順序は極めて重要です。心室性期外収縮は、その順番が狂い心房より先に心室が収縮してしまうことから、様々な不都合が生じます。心房細動と同様、脈の規則性は基本的には失われ、脈が抜け飛んだように感じることが多いのですが、この時心臓は余分に打っていることがこの不整脈の特徴です。図1に示すように、赤矢印でしめす不整脈では血液が得られておらず、心臓は動いているのに脈は出ていません。 心臓は通常1日で約10万回収縮しまうすが、心臓に全く異常のない正常な方でも数百程度の心室性期外収縮が現れることもあり、その多くは放置可能です。この不整脈の重要度については、その個数だけでなく基礎心疾患の有無や、その出方(安静時に多い、運動時に多い、朝方に多い、一日中感じる、など)も重要で、治療の適応や治療方法も様々です。たった1発の心室性期外収縮が原因で心室細動という、命に係わる最重症不整脈を引き起こすものでは、図2に示すように血圧が全く出なくなり何らかの処置をしないと命にかかわってしまいます。

 

心房頻拍

 

この最重症の不整脈では、薬剤やカテーテルアブレーションでも治療することが困難で、植込み型除細動器という、ペースメーカーより大きめの機械を植え込む手術を要することもあります(図3)。

 

心房頻拍

 

図1に示す患者さんは40代男性で、携帯型心電図で一日に約2万発の心室性期外収縮を認めました。動悸などの自覚症状は明らかではありませんでしたが、以前に比し労作時の息切れを自覚するようになり相談を受けました。3Dカラーマッピング装置(図4)を用いてアブレーションを施行し、以後不整脈は消失し息切れもなくなりました。図5の患者さんは30歳代の男性で、動悸を主訴に救急外来を受診されました。心電図では、心拍数毎分約150回の心室頻拍と呼ばれる心室性期外収縮の連発を認め、抗不整脈薬を静脈内投与し発作を治療後、後日3Dカラーマッピング装置(図6)を用いてアブレーションを施行し根治しました。以後いかなる内服薬も服用しておられませんが、発作は消失し再発も認められておりません。

 

心房頻拍 

 

20年ほど前に心室性期外収縮を伴う心筋梗塞の患者さんを対象に、薬剤による不整脈治療を行った結果、かえって生命予後が悪化したという研究結果が発表され、以後不整脈の薬物治療は逆風状態になり、その結果、非薬物療法であるカテーテルアブレーションなどが注目されるようになりました。しかし心房細動と同様、全ての心室性不整脈をカテーテルアブレーションだけで治療することは、残念ながら現在でも困難です。それでも近年多くの心室性期外収縮や心室頻拍で、高い奏効率で治療が可能となってきています。我々専門医は、患者さんの背景を元に、最も適した治療法を選択し、日々治療に当たらせて頂いております。不整脈の診断は、不整脈そのものを捉え記録さえすれば、治療法、予後など比較的容易に診断可能です。動悸などの症状で脈の不整にお困りの方は、ご相談ください。

 

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